
不安・緊張が強い
不安・緊張が強い
強い不安や心配が絶えず頭から離れず、物事に集中できない状態が続く場合、不安障害などの精神疾患の可能性があります。悪化すると身体症状が現れることもあります。
全般性不安障害は、毎日の生活の中で漠然とした不安や心配を慢性的に持ち続ける病気です。
ただ心配しているだけなら良いのですが、尽きることない不安と心配のために徐々に身体症状や精神症状が現れるようになり、不安が悪循環となっていきます。全般性不安障害の患者さんが抱える不安は、持続的で程度も過剰であり、本人が思うようにコントロールできません。自分や家族に何か恐ろしいことが起きるのではないかと絶えず心配し、そわそわと落ち着かず、些細なことにも常に過敏に反応してしまうため、物事に集中することができません。そして、症状が進むと、睡眠や毎日の生活にも障害をきたし、日常生活をこなすことが困難になってしまいます。
パニック障害や社交不安障害は、苦手な状況がはっきりとしています。しかし全般性不安障害では不安を感じる範囲は非常に広く、日常に起きる生活のすべてになります。家庭、会社、学校、近所づきあいをはじめ、地震などの天災、海外での戦争など、自分に関係するものだけに限らず、あらゆるものが不安を覚える対象になります。全くあり得ないようなことを心配しているのならば周りも病気と思うでしょうが、不安が日常生活に散らばっていることから、「他のひとよりも心配性」や「ちょっと神経質」と思い込んでしまい、病的な不安とは受け取られないのです。患者さん自身も、「自分は心配性な性格」と思っていることも少なくありません。
パニック障害は、突然激しい呼吸困難、動悸、めまいなどが起こる「パニック発作」と、発作に対する恐怖や不安が頭から離れなくなる「予期不安」の2つの症状がある状態のことです。また、80%以上の患者さんには、発作が起こりそうな場所や状況を避ける「広場恐怖」を伴います。パニック障害の有病率はおよそ100人に1人と決して稀な疾患ではありません。男女比はほぼ1:2と女性に多い疾患です。発症年齢は、男性が20歳代、女性が20-30歳代となっています。
自分の意思に反してある考えが頭に浮かんで離れず(強迫観念)、その強迫観念で生まれた不安を振り払おうと何度も同じ行動を繰り返してしまうこと(強迫行為)で、日常生活に影響が出てしまう状態をいいます。例えば、手が不潔に思えて過剰に手を洗ってしまうことや、戸締りなどを何度も確認せずにはいられないといったことがあります。以前は、不安を主症状とする精神疾患である不安障害の一種とされていましたが、不安や恐怖よりも嫌悪感や道徳心と結び付いている症状が多いことから、現在では不安障害から独立した思考や行動の病気に分類されています。
適応障害とは、様々な要因から生じるストレスから苦痛を感じることで、精神的・身体的な症状を引き起こすストレス障害の一つです。適応障害を引き起こすストレスの種類は、転職や転勤などの環境変化によるストレスや、妊娠・出産などのライフステージの変化によるストレス、人付き合いによるストレス、災害などによるストレスなど多岐に渡ります。適応障害は生活や環境の移り変わりがあれば、どんなに些細な出来事でもきっかけとして起こりうる病気です。その人にとって重大な変化であると感じるほど、普段の生活が送れないほどのうつ症状が生じたり、強い不安によってパニック発作を引き起こしたりする恐れもあります。適応障害はストレス障害とも呼ばれ、普段の生活で生じる様々なストレスに対して適応できずに、心や身体の不調として症状が現れることで起こります。人間の周りには沢山のストレスがあり、暑さ・寒さや天気などの環境条件、仕事やプライベートの人付き合いなど、幅広く存在しています。そのように多種多様なストレスに対して、心が耐えきれなくなってしまうことで、精神疾患として病気を発症してしまうのです。
「短気になりやすい」「気持ちの切り替えが難しい」といった背景には、性格や疲労の他に発達障害が関係している場合もあります。
うつ病は、気分が持続的に落ち込み、興味や喜びを感じることができなくなる精神疾患です。単なる「落ち込み」や「一時的な気分の低下」とは異なり、日常生活や仕事に支障をきたすほどの深刻な症状が続く状態を指します。うつ病は、適切な治療を受けることで症状を改善し、回復を目指すことが可能な病気です。
うつ病の発症率は高く、現代社会では多くの人が経験する可能性があります。早期に治療を開始することで、症状の悪化を防ぎ、生活の質を取り戻すことが期待できます。
双極性障害(躁うつ病)とは、気分が極端に高揚する「躁状態」と、抑うつ状態が続く「うつ状態」を繰り返す精神疾患です。これらの気分の波は日常生活に大きな影響を与え、適切な治療を受けないと社会生活や人間関係に支障をきたすことがあります。20-30歳代に発症することが多く、発症頻度はおよそ100人に1人と決して稀な疾患ではありません。
双極性障害は主に双極I型障害と双極II型障害の2種類に分類され、それぞれ症状の現れ方が異なります。適切な治療と生活習慣の改善によって、症状をコントロールしながら社会生活を送ることが可能です。
注意欠陥多動性障害(ADHD)とは、過度な不注意症状や多動性・衝動性症状により社会的な活動や、学業・仕事などに支障をきたしている状態をいいます。日本で行われた疫学調査の一つとして、大人のADHDの有病率は1.65%との報告があります。ADHDでの原因は、本人の努力不足や、育てられ方ではなく、遺伝的な要因や環境的な要因が複雑に関係しているとされています。
生まれつきの脳の発達の偏りが関係していると考えられており、育て方やしつけによって起こるものではありません。その他、遺伝との関係についての研究が進められたり、脳内の神経伝達物質の関与も明らかになってきています。認知機能や実行機能などにかかわる、脳の前頭葉皮質という部分がうまく働かず、脳内での情報のやり取りが十分に行われていない可能性があります。つまり、脳の機能的な原因により、発達・成熟に偏りが生じ、ADHDの症状が現れると考えられています。かつてADHDの症状は、成長にしたがって改善していくと考えられていました。しかし近年、慢性的な経過をたどることが多いことが明らかになってきました。大人のADHDが注目されるようになったのもこのためです。
月経前気分不快症候群(PMS)は生理の1-2週間ほど前から、下腹部や乳房の痛みなどの身体的な症状、いらいらや憂うつなどの精神的な症状が現れ、日常生活に支障をきたしてしまう病気です。一説には生理周期半ばあたりの排卵期を過ぎる2つの女性ホルモンの分泌量が急激に変化し、脳の中枢(視床下部)がそれに対応しきれなくなることで、PMSのさまざまな不調が起こるのではないかと考えられています。視床下部は自律神経の中枢でもあるため、視床下部が対応しきれなくなると自律神経が乱れ、様々な体の症状が出現します。感情を司る中枢とも隣り合っているため、イライラや憂うつ、無気力、不安などの精神症状も現れます。症状の現れ方や程度には個人差がありますが、複数の症状が重なって現れるケースがほとんどです。
月経前気分障害(PMDD)とは、月経1~2週間前から、強い気分の落ち込み・意欲の低下・イライラや怒りっぽくなる・情緒不安定・集中力の低下・理由のない不安感や緊張感・睡眠過多や不眠・流涙などの精神的症状が「日常生活に支障をきたすレベル」で出現し、月経が来ると良くなる状態を指します。PMDDは、PMSと同様に生理前の約2週間に限ってその症状があらわれる特徴があります。
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