
パニック障害
パニック障害
パニック障害は、突然激しい呼吸困難、動悸、めまいなどが起こる「パニック発作」と、発作に対する恐怖や不安が頭から離れなくなる「予期不安」の2つの症状がある状態のことです。また、80%以上の患者さんには、発作が起こりそうな場所や状況を避ける「広場恐怖」を伴います。パニック障害の有病率はおよそ100人に1人と決して稀な疾患ではありません。男女比はほぼ1:2と女性に多い疾患です。発症年齢は、男性が20歳代、女性が20-30歳代となっています。
パニック発作
パニック発作は何の前触れもなく突然、強い恐怖・不安と共に、下記のような激しい症状が起こります。発作は10分以内に症状がピークに達し、多くの場合30分前後で治ります。この発作は、繰り返し起こりますが、体には異常がないため、死に至ることはありません。
予期不安
予期不安は、パニック障害の根本的な症状です。「また発作が起こるのではないか」と恐怖、不安が頭から離れなく症状です
広場恐怖
広場恐怖は、パニック発作が起きた場所や状況、発作が起こったときに助けを呼べなかったり逃げ出したりできない場所や状況を避けようとし、行動範囲が狭まってしまう症状です。広場恐怖の程度は幅広く、特定の場所だけ避ければ日常生活には支障ない場合から、外出困難になり引きこもりの状態になる場合まであります。
パニック障害は、脳内の危険を察知するシステムが誤作動を起こすことが原因と考えられています。このシステムには、「ノルアドレナリン」と「セロトニン」が関係していると言われています。
ノルアドレナリン
役割
危険が迫るとたくさん分泌され、脈拍数や血圧が上昇し、心身が危険に対応できるようにします。
パニック障害の場合
危険がなくてもたくさん分泌されたり、多少の危険にも関わらず過剰に分泌されることでパニック発作が起こると考えられています。
セロトニン
役割
セロトニンが不安や恐怖を和らげ、心の安定を保ちます。
パニック障害の場合
セロトニンが枯渇しており、不安、恐怖を感じやすくなってしまっています。
パニック障害の治療は、「薬物療法」と「精神療法」があります。
SSRI(選択的セロトニン取り込み阻害薬)
薬物療法の中心となるお薬で、脳内の「セロトニン」の量を増やす働きがあります。即効性はなく、効果が現れるまでに2-4週間程度かかります。また、効果より先に吐き気、眠気などの副作用が出現することがありますが、通常、1-2週間程度で自然に改善します。
抗不安薬
SSRIの効果が出るまでや、症状改善していても突然強い不安に襲われた際に、抗不安薬を補助的に使用することがあります。効果としては、神経の興奮や不安をしずめる働きがあります。即効性がありますが、使い方によっては依存性や耐性が生じることがあるお薬なので、主治医の指示通りに服用してください。
心理教育
治療に先立ち、医師や心理士などがパニック障害について解説し、患者さんの病気への不安を軽減します。また、症状や治療法、パニック発作が起きた時の対応を学ぶことで、治療が継続できるよう理解を促します。
認知行動療法
病気にとってマイナスとなるものの見方や考え方のクセを患者さん自身で直していけるように導くのを「認知療法」といいます。この認知療法と連動して、不安や恐怖が発生しやすい場所や状況に身をさらし(暴露し)、徐々に慣れていくことで、不安が解消されるようにする「行動療法」を行います。
自立訓練法
体をリラックスさせることで、こころもリラックスさせ、不安感や恐怖感をコントロールする治療法です。患者さん自身で行えますので、普段の生活の中でセルフコントロールが出来るようになります。
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