
全般性不安障害
全般性不安障害
全般性不安障害は、毎日の生活の中で漠然とした不安や心配を慢性的に持ち続ける病気です。
ただ心配しているだけなら良いのですが、尽きることない不安と心配のために徐々に身体症状や精神症状が現れるようになり、不安が悪循環となっていきます。全般性不安障害の患者さんが抱える不安は、持続的で程度も過剰であり、本人が思うようにコントロールできません。自分や家族に何か恐ろしいことが起きるのではないかと絶えず心配し、そわそわと落ち着かず、些細なことにも常に過敏に反応してしまうため、物事に集中することができません。そして、症状が進むと、睡眠や毎日の生活にも障害をきたし、日常生活をこなすことが困難になってしまいます。
パニック障害や社交不安障害は、苦手な状況がはっきりとしています。しかし全般性不安障害では不安を感じる範囲は非常に広く、日常に起きる生活のすべてになります。家庭、会社、学校、近所づきあいをはじめ、地震などの天災、海外での戦争など、自分に関係するものだけに限らず、あらゆるものが不安を覚える対象になります。全くあり得ないようなことを心配しているのならば周りも病気と思うでしょうが、不安が日常生活に散らばっていることから、「他のひとよりも心配性」や「ちょっと神経質」と思い込んでしまい、病的な不安とは受け取られないのです。患者さん自身も、「自分は心配性な性格」と思っていることも少なくありません。
全般性不安障害という病気の名称やその症状については、これまであまり知られていなかったため、治療を受けていない方も多いようです。また、病院に行っている方の場合でも、自律神経失調症や更年期障害と診断され、全般性不安障害の患者さんとしての治療の機会を逃していることもあるようです。
全般性不安障害は発病すると、うつ病、パニック障害、社会不安障害などを併発する可能性が高くなるといわれておりますので、全般性不安障害の症状が現れている場合は、早めに受診することをお勧めします。
強すぎる不安や心配がコントロールできず、心と体が悪循環してしまって心身の症状にあらわれてしまいます。
身体症状
精神症状
全般性不安障害は、単一の原因をもとに発症するわけではなく、環境要因や遺伝的要因などが複合的に関与することで病気の発症に至ると考えられています。物事をネガティブに捉えやすい性格の人や、親族の中で全般性不安障害を抱える人がいらっしゃる人などは、全般性不安障害のリスク因子であると考えられています。そのほか幼少期の家庭環境や経験、慢性的な身体疾患や健康障害なども誘因となりうると想定されています。
全般性不安障害では、薬物療法や精神療法を中心として治療に当たります。薬物療法としては、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、抗不安薬などを用いて症状コントロールを図ります。また、精神療法をとおして、不安や心配等に対しての対処方法を学んだり、不安を感じる出来事に対して正常に認知できるようにはたらきかけたりします。
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